「私の人生には、語れるような物語なんてない」
そんなふうに感じることが、私にもありました。
特別な実績があるわけでもない。
誰かに誇れるような経験があるわけでもない。
それどころか、「何者にもなれていない」そんな感覚にさえなるときもありました。
でも、気づいたんです。
それでも毎日を生きてきた私には、
確かに“私だけの感覚”や“選び取ってきた歩み”があったということに。
“当たり前”の中に、こぼれていた私
たとえば、
忙しい朝でも子どものお弁当を作った日。
疲れていたのに、誰かの話にちゃんと耳を傾けた夜。
泣きたかったけれど、笑顔でやり過ごした瞬間。
どれも「みんなやっていること」として流していたけれど、
本当はそこに、自分なりに大切にしたい“在り方”が映っていた気がします。
誰かに見せることもない、評価されることもない日常。
だけど、そんな日々の中にこそ、
“どんな自分で生きていきたいか”がにじんでいたのだと思うのです。
気づかなかったのは、“ちゃんと生きてきた私”のほうだった
コーチングで出会った言葉のひとつに「スコトーマ(心理的盲点)」というものがあります。
それは「見えていないこと」という意味。
でも最近は、「あまりに自然に、そこに在りすぎた私自身」だったんじゃないかとも思います。
「ちゃんとしなきゃ」
「期待に応えなきゃ」
そんなふうに生きてきた日々は、
私にとっては“ごく当たり前のこと”でしたが、
その在り方が、ずっと私の選択の軸になっていたんだと、ようやく気づけました。
過去ではなく、“未来から”今を選び直す
コーチングの本質は、過去を掘り返すことではなく、
“これからどう生きたいか”を明確にすることにあります。
私自身、「こんなふうに生きていきたい」と心から思える未来を描いたとき、
少しずつ「今この瞬間の選択」が変わっていきました。
完璧にできていなくても、うまくいかない日があっても、
未来の私が「よくやってる」と言ってくれているような気がして、
自然と力が抜け、今を丁寧に生きようと思えるようになったんです。
それが、変化のはじまりでした。
統合とは、“自分に戻る”ことだった
変わるって、なにか新しい自分になることだと思っていたのですが、
実は、“本来の自分”に戻っていくプロセスだったのかもしれません。
理想の姿に“ならなきゃ”と思っていた頃の私は、
今の自分をどこか否定していて、焦りや不安の中にいました。
でも、「このままでも、ここにいていい」と思えたとき、
ようやく、ほんとうの意味で動き出せたんです。
それが私にとっての“統合”のはじまりでした。
物語は、まだ途中でいい
今、何かを語れないと感じている人も、
うまく言葉にならない感覚を抱えている人も、
それは“物語が終わっていない”というだけのこと。
私自身も、まだまだその途中にいると感じています。
立ち止まったり、進んだりしながら、
それでも「こう在りたい私」に近づいていく日々。
だからもし、あなたもそんな“途中”にいるとしたら、
そんな感覚を、どこかでふっと共有できていたら嬉しいです。
コーチングは、未来に手をのばす静かな時間
私が大切にしているコーチングは、
何かを急いで変えるためのものではなく、
未来の自分と静かに“つながる時間”です。
今の自分を否定するのではなく、
未来から「ありがとう」と言ってもらえるような選択を、少しずつ重ねていく。
その選択は、あなたの人生という輪郭をくっきりと映し出してくれるものだと感じています。
そして、その在り方は、きっと誰かの安心や希望にもなる。
私自身がそう信じられるようになった今、
だからこそ、こうして言葉にできるのだと思います。
言葉にならない時間も、
なんとなく過ぎていく日々も、大切な物語の一部。
まだ輪郭が見えないからこそ、
そこにはたしかな命の光が、宿っているのだと信じています。
そんな感覚を、これからも一緒に見つけていけたら嬉しいです🌿