「言ったのに、伝わってなかった」
「ちゃんと説明したのに、わかってもらえなかった」
「そんなつもりじゃなかったのに、相手を傷つけてしまった」
人と関わる中で、そんな経験をしたことはないでしょうか。
私は以前、育児でも仕事でも、「どう言えば伝わるか」にいつも頭を悩ませていました。
伝え方の工夫、言葉選び、タイミング…。
でも、がんばって言葉を尽くせば尽くすほど、なぜか空回りすることも多かったように思います。
そんなときに出会ったのが、コーチングでした。
「言葉」がすべてじゃないと知った瞬間
コーチングを学び始めて、まず衝撃だったのは、
人は言葉の内容以上に、「そのときの空気」や「相手の在り方」を感じ取っているということ。
たとえば、「大丈夫だよ」と言われたとしても、
相手が不安そうな顔をしていたら、まったく安心できなかったりする。
逆に、何も言わなくても、ただそばにいてくれるだけで、心がゆるんだりする。
そうした私自身の経験も振り返りながら、
伝わるのは言葉じゃなくて、もっと深いところなんだと気づいたのです。
いちばん強く伝わるのは、「どんな未来を生きているか」
コーチングでは、自分が心から望む未来(=ゴール)を描き、
そこから今を選び直していく、というアプローチをします。
そして不思議なことに、自分がどんな未来を思い描いているかは、
言葉にしなくても、雰囲気や行動の端々から自然と伝わっていくんです。
たとえば、未来にワクワクしながら今を過ごしている人は、
表情もまなざしも柔らかく、どこか安心感があります。
そして、その人と一緒にいるだけで、
「なんだか自分も大丈夫な気がしてくる」という感覚になるんです。
つまり、どんな在り方でいるかが、相手の無意識にそのまま届いているということなんです。
「どんな言葉をかけるか」より、「どんな状態でそこにいるか」
コーチングの中で、相手の背中をそっと押す場面があります。
でもそのときに大切なのは、テクニックではなくて、
自分の中にある信じる感覚です。
✔ 相手がゴールを描けると信じているか
✔ その人の可能性を、こちらがどれだけ信じているか
✔ 自分自身がゴールに沿った毎日を生きているか
こうした目に見えないものが、自然と相手にも伝わっていくもの。
だからこそ、コーチングは在り方そのものが届けられる関係性なんだと思うのです。
言葉にしなくても、もう伝わっている
言葉にするって、時にとても難しいことだと思います。
でも、言葉にしなくても、伝わっているものがあるという感覚を持てると、
人との関わりもぐっと楽になっていくものです。
安心感、信頼、あたたかさ、自信、未来への確信。
それらは、無理に表現しなくても、
“どう生きているか”を通して自然と周りに伝わっていく。
そう考えると、「いいコーチングをする」というのは、
まずは自分自身が、自分の未来に沿って生きることから始まると感じています。
自分がどんな未来を信じているか。
どんな景色を、どんな気持ちで歩いているのか。
それが、言葉を超えて、自然と人に伝わっていく。
だからこそ、私は、技術よりも、
「どんな心でそこにいるか」を、これからも丁寧に育んでいきたいと思っています。